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2022年6月27日 (月)

伝統野菜の定義と日本の野菜の変遷

毎日のように私達の食卓に並ぶお野菜。そのほとんどが海外から渡来した物です。近頃は、全国的に伝統野菜の復活をめざす動きが広がり、各都道府県がそれぞれ独自に基準を設け、伝統野菜や地域野菜として選定しているそうです。

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渡来の野菜が日本に定着
ヨーロッパや中国、アジア諸国など海外から渡ってきた数々の野菜は、日本各地に広がり、時の流れの中、採種を繰り返すうちに、それぞれの土地の気候風土に適した野菜として形質が固定化し、地域野菜として定着していきました。

これらの野菜は、在来種、固定種と呼ばれるもので、40~50年前までは各地で当たり前に食され、地域の食文化とも密接に関係してきました。たとえば、全国的に有名な信州の野沢菜漬けの野沢菜は、長野県下高井郡野沢温泉村を中心とした地域で栽培されてきた野菜ですし、名古屋名物の守口漬は、岐阜・愛知で栽培されていたホソリ大根や美濃干大根と呼ばれていたもの(現在は、守口大根)が今でも使われています。

在来種、固定種の歴史
しかし、大部分の在来種、固定種は、歴史の流れの中で、その姿を消しつつあります。

ここでは、伝統野菜である在来種、固定種が衰退に至るまでの歴史をみていきます。

戦後の食糧事情
戦後の物資欠乏や飢餓の時代を経て、日本国民の食糧が安定的に供給されるようになったのは1950年代に入ってからでした。

戦後しばらくの間は、野菜などの生鮮食品は法的な統制下にありましたが、その統制もすぐに解かれ、各地で本格的に栽培・供給が再開されました。

その頃の野菜は、それぞれの地域では当り前であった在来種、固定種です。戦争で壊滅的になっていた品種も復活し、1950年代の後半には、戦前の水準をほぼ取り戻しました。

西洋型の食事への移行
やがて、経済の復興に伴い日本の食卓にも変化が訪れます。

米・魚・みそ汁といった和食の食事からパン・肉・牛乳の洋食に移行していったのです。

これに合わせて、野菜の種類も変化し、大根や白菜などの和食に合う野菜は衰退し、たまねぎ、キャベツ、レタス、ピーマン、トマトなど洋食に合った野菜の消費が伸びていきました。また、同じ種類の野菜の中でも、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などは東洋型の品種から西洋型の品種に移っていきました。

自家採種から種子購入へ
均質化・規格化においては、圧倒的に有利なF1種に対して、在来種、固定種は品質が均一ではありません。野菜の揃いが悪く、手間がかかり、そのうえ、その地域の気候風土に合わせた独自の栽培技術を必要とする地域野菜ならではの品種もあります。また、採種をするために、一部を収穫せずに残しておかなければならず、畑の生産効率を下げてしまいます。F1種は種子を購入するため、採種の手間が省けますし、その間の二期作や二毛作も行いやすくなります。

消費者の規格化ニーズと農業者の生産効率ニーズが合致し、瞬く間にF1種が市場を席巻。農業のスタイルは「固定種で自家採種」から「F1種で毎年種子を購入」へと変わっていったのです。

在来種、固定種の終焉
戦後の食糧不足から脱したのが1950年代後半。それから10年経つか経たないかの期間で、日本の野菜は、そのほとんどが在来種、固定種からF1種に移行しました。

時代や社会は、効率化や均質化、規格化に合う野菜を求めたのです。

1965年頃を境に在来種、固定種は、大消費地向けの市場から姿を消し、地域の農家が自家需要で栽培するにとどまり、中には消滅してしまった品種も数多くあります。

在来種、固定種は、このまま絶滅を迎えてしまうだろうと予想されました。

在来種、固定種の復活
しかし、半世紀近くの間、ひっそりと自家需要などの栽培しかされて来なかった在来種、固定種に、ここにきて再び注目が集まってきています。

1980年代半ば頃から少しづつ推進されてきた「地産地消」の流れに加え、2013年に「和食」が無形文化遺産に登録されたことが推進力となり、地域おこしの産品としても掘り起こしが活発化しています。

こうして、在来種、固定種は、新たに「伝統野菜」、「地域野菜」と呼ばれるようになり、単なる「地産地消」の農産物としてだけでなく、地域の特産品、スローフードという新しい切り口での需要が喚起されつつあります。

しかし、伝統野菜として復活したのは、かつての在来種、固定種のうちの一部だけであり、消滅してしまった品種は取り戻せません。

今後は、現存する伝統野菜の種を絶えることのないよう、保存・継承していくことが、とても重要です。

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(匿名希望)

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