簡単なことだよ、息を吐くとうまくいく。。②
リンクより
■赤ちゃんの呼吸に戻ろう
「赤ちゃんのときは腹で呼吸してるんだよ。健康な人は、それが理想的な状態。でも大人になると、腹で呼吸ができない人が出てくるんだよね」
―赤ちゃんのときはできていた呼吸ができなくなるんですか?
「そう。原因は、さっきも言ったけど、心が発達することでどうしてもストレスがかかるから。楽しいこともあれば、悲しいこと、苦しいこと全部入ってくるでしょ。マイナスなことがいっぱい入ってくると、心がすさんでくるの。そうすると腹でしていたはずの呼吸を忘れちゃう」
―大人になると頭で考えすぎちゃうんですかね?
「考えること自体は悪いことじゃないんだけど、自分にとってマイナスなことばかり考えるとあんまりよくないよな。怒りとか不安の感情は簡単には捨てられないでしょ。トラウマとか。だから赤ちゃんのときの呼吸に戻るといいわけ。そうすると、潜在意識までコントロールできるようになる」
―潜在意識ですか?!
「人の心を説明するときに、氷山の例えをよく使うんだけどね。海面から出ている部分が意識、海の下に沈んでいる部分が無意識。氷山って沈んでいる部分(無意識)が圧倒的に大きいんだよね。言い方を変えると上が顕在意識で下が潜在意識だ。赤ちゃんのときは潜在意識そのものなんだよな。意識的にお腹で息を吐いて、赤ちゃんのときの呼吸に戻ることで、潜在意識にまでアクセスできるようになるっていうのが僕の考え。トラウマとか、欲とか、嫉妬とか、なかなか自分でコントロールできないものってあるでしょ。それを呼吸でなんとかしようっていうメソッドなんだよ」
―なるほど。息をするなんて当たり前すぎて気がついていなかったけど、それくらい人の心に影響してるってことなんですね。
「そう。だから丹田で息が吐けるようになると心が強くなるんだ。腹が据わるって、そういう意味だよな」
■呼吸は自分自身を表す
「基本は瞑想と一緒なんだけど、考え方と切り口が違うんだ。呼吸は100人いたら100通りの教え方をしないとダメだからね」
―息の吐き方が人によって違うってことですか?
「吐き方をどうこう言ってるんじゃなくて、呼吸にはその人の生きてきたものが全部絡んでくるんだよ。その人の意識が、いま何を考えているかっていうことに合わせていかないといけないの。だから僕の感覚を一方的に教えたってダメ。その人の目線で、気づきを引き出してあげるということが大事なの」
―どういうことを考えているかを会話しながら進める感じですか。
「カウンセリングするわけじゃないよ。呼吸っていうのは自分自身に気づくための道具だってことを自分で学んでほしいんだよ」
―道具?
「あなたが人間的に成長するための道具。気づきっていうのは自分を知るっていうこと。さっき呼吸は潜在意識につながると言ったけど、普段は見えない感情だったり、自分でも気づかなかった気持ちは呼吸に表れるんだよ」
―極端な不安や緊張に陥ると息が浅くなって過呼吸になりますもんね。
「そう。過呼吸のときは全く腹で息ができていない状態。そういうときも、とにかく腹を意識して吐いて、吐いて、コントロールできるようになるといいよな」
■日本には昔「お腹で呼吸をしやすい文化」があった
「昔はね、日本はもっと腹の呼吸に意識が向く文化だったんだよ。分かりやすいのは和式トイレだね。和式ってしゃがむでしょ。だから自然と腹に意識が向いた。今ではほとんど洋式だよね。あと『井戸端会議』って言葉があるように、昔は井戸のまわりでお喋りをしながら、しゃがんで洗濯してたんだから。着物だって帯を締めてたでしょ。全部、腹のところに意識が向く文化だったんだよ。もっと言うと、切腹だってそう。こういう、お腹を意識する文化が日本人の精神の一番強いところを作ってたはずなんだ。それが戦後なくなってしまった」
―当時は日本人と海外の人とで呼吸の仕方が違ったんでしょうか。
「同じ人間だから、やり方が違うわけじゃないんだけど、精神力は違ったはずだよな。殿様が行けって言えば行くような上下関係の強さというか、仲間同士の絆が日本にはあった。それが良いか悪いかは、いろいろな捉え方があると思うけど、いい方向に活かせば強かったはず。今は社会背景が全然違うから、そういう精神力が弱まって、不安や悲しみをコントロールできない人が増えてるよな」
―そうですね。だからこそ瞑想やマインドフルネスがブームになっているんでしょうね……。でもどの考え方も共通して、いちばんの基本は呼吸、ということが分かってきました!
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(松山恵実)
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