健康とは何か?⇒腸内細菌の多様性が維持されている状態
腸内細菌が様々な防御機能をもっている話は前回の記事380373で書きました。裏返せば腸内細菌のある状態が健康な状態ということです。
桐村里紗氏の著書「腸と森の「土」を育てる」より紹介します。
>「超」健康な人の腸内細菌に共通している腸内環境は、特定の菌種が多いということではなく「多様性が高い」ことであるというのが、現在わかっていることです。
3歳から100歳までの1000人の「非常に健康」とされる人を対象としたこの研究で、全グループに共通した特徴は、特定の善玉菌の種類が多いことではなく、腸内細菌の多様性が高いということだったそうです。
人の社会も微生物の社会も、調和的な共生関係が築かれたダイバーシティー(多様性)が大切。これは原理原則です。
「共生」という言葉は、互いに手を取り合い、助け合い、完全に「WIN-WIN」が理想的に築かれるユートピアのようなイメージを与えます。
生物学においては、それは「相利共生」と呼ばれる共生の一種です。
共生には他にも種類があり、片方は得をするが、片方はどちらでもない「片利共生」と片方は得をするがもう一方は損をする「寄生」「捕食」などがあります。
人の腸内環境を含む、身体や周りの環境に暮らす微生物との共生は、理想的な相利共生種ばかりではなく、片利共生種との共生も含まれます。先進国では最近でこそ少ないものの、地球上の多くの人類は寄生虫とも共生しています。
相利共生種が善、片利共生種が悪とも単純に言い切れません。
たとえば、相利共生種であるビフィズス菌だけが腸内を占拠したらどうなるでしょう。それは不健全な独裁国家であり、「病気」の一種と考えられます。
また、増えすぎることで、感染症などの病気を引き起こす片利共生種でも、多様な種類の細菌が混ざり合いながら暮らすダイバーシティーが環境に維持されていれば、スタンドプレイで病原菌を発揮することなく、身体に何かしらのサポートをしながら大人しく過ごすことができます。また共生する微生物同士の相性によっても、その振る舞いは変わります。
微生物の振る舞いは、このように人間と同じで奥深く、一言で善悪が語れません。とにかく分かっていることは「環境次第で振る舞いは変わる」ということ。それから「単一の微生物が増えてしまうことは不健全」で「多種多様性が保たれ、多様な微生物が協力し合いながら暮らすダイバーシティーが維持されていれば、人もその環境も健康であるという事です。
(田野健)
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